金融派生商品
金融派生商品は、「デリバティブ」とも呼ばれ、金利や債券、株式、為替、コモディティなどの原資産から派生した取引の総称をいいます。現在、その種類については、元となる原資産、取引の形態(店頭取引、取引所取引)、商品の仕組み(先物、スワップ、オプション等)によって、いくつかに分類することができます。代表的なものには、先物取引(金利やコモディティ等を原資産とする取引)、スワップ取引(金利等を交換する取引)、オプション取引(取引を行う権利を売買する取引)などが挙げられます。ちなみに、本用語の元となる英単語の"derivative"は、「派生的、副次的」という意味があります。
世界の金融取引において、金融派生商品の歴史は意外と古く、17世紀のオランダのチューリップ市場などが「オプション取引」の原型であり、18世紀の大阪堂島の米市場などが「先物取引」の原型であると言われています。また、「スワップ取引」を中心とする近代デリバティブについては、1981年の世界銀行とIBMとで行われた通貨スワップから大きく発展しました。そして、今日では、企業のクレジットリスクを対象とする「クレジットデリバティブ」や天候(気象に関する指標)を対象とする「天候デリバティブ」、不動産を対象とする「不動産デリバティブ」、CO2排出量を対象とする「排出権デリバティブ」など多様な取引が世界中で行われています。
一般に金融派生商品は、伝統的な金融取引に比べて、少ない資金で効果的にリスクヘッジやアービトラージ(裁定取引)、スペキュレーション(投機取引)を行うことができます。しかしながら、その一方で、レバレッジ効果により、失敗した時のリスクが非常に大きいため、高度なリスク管理や厳格な内部統制などが重要となり、また会計上の処理は時価会計が基本となります。