ちょい悪おやじの!ちょい乘り四方山ブログ

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③人生は・・・?うんちく
 オヤジの説教に付き合え
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批判は無視します。他人の中傷にお付き合いするほど、残された時間は多くないのでね。

合成ゴムの種類

1.合成ゴムの種類
(1)合成ゴム開発の歴史
合成ゴムは、天然ゴムの化学構造の研究からスタートした。1860 年に C.ウィリアムスが天然ゴムの基礎単位
がイソプレンであることを発見したことが契機となり、その後 1879 年から 1913 年にかけて多くの学者により合成
ゴムをつくる研究がほぼ確立された。合成ゴムの工業化は、天然ゴムの生産拠点を持たず天然ゴムの入手に苦
慮していたドイツや米国が中心となり進められた。2 つの世界大戦を経る過程で軍需用の資材として開発が進め
られ、また第二次大戦後は世界のモータリゼーションに伴い、自動車のタイヤや部品材料として多種多様な種類
が開発され発展してきた。
1933 年、ドイツの IG(イー・ゲー)社はナトリウム触媒を用いて最初の合成ゴム「ブナ S」(スチレンブタジエ
ンゴム=SBR)の開発に成功、翌 1934 年には耐油性ゴム「ブナ N」(アクリロニトリルゴム=NBR)の開発に
も成功している。こうしてドイツは世界に先駆け合成ゴムの工業化を果たした。この頃政権を握ったヒットラーは軍
需資材としてゴムの重要性を理解し、すべて軍需向けに増産の計画を推進、その結果、1943 年には「ブナ S」
の生産量は 11 万トンに達することとなった。
一方、米国では、第二次世界大戦までイギリスから天然ゴム、ドイツから「ブナ S」および「ブナ N」を輸入するこ
とができたが、1942 年に日本軍がマレー半島などを占拠したため天然ゴムの輸入ルートが絶たれ、またドイツと
の開戦によりブナ系ゴムの入手も不可能となった。このため当時のルーズベルト大統領が、合成ゴムの製造を国
家プロジェクトとして推進した結果、ブナ系ゴムの国産化に成功し 1945 年には 82 万トンの生産量に達した。こ
のゴムは、Government Rubber の頭文字をとって「GR-S」(SBR)および「GR-A」(NBR)と呼ばれ
た。また米国では 1931 年に、ナイロンの発明者であるデュポン社の W・H・カローザスが最初の本格的特殊合
成ゴムであるクロロプレンゴム(CR)の開発に成功していた。
このほか欧米では 1940 年代にアクリルゴム(ACM)、ブチルゴム(IIR)、ウレタンゴム、シリコーンゴム、
1950 年代に入るとクロロスフォン化ポリエチレン(CSM)、フッ素ゴムなどの特殊合成ゴムが次々と開発された。
1954 年米国の化学会社数社がチーグラー・ナッター触媒を用いて新しい構造をもつポリイソプレンゴム(IR)
の開発に成功、このポリイソプレンゴムこそ、天然ゴムと同一の分子構造(シスポリイソプレン単位)をもつ「合成
天然ゴム」であった。
さて、日本で合成ゴムが国産化されたのは 1959 年で、翌 1960 年の生産量はわずか 2 万 3,000 トン。そ
の年の天然ゴム輸入量は 17 万 2,500 トンであった。その後、モータリゼーションの進展とともに合成ゴムの需要
は拡大し、国産化 7 年後の 1966 年には 23 万 2,700 トンを生産、その年の天然ゴム輸入量 22 万 9,000
トンを上回った。その後も順調に生産量を伸ばし続け、1978 年には 100 万トンの大台を突破した。近年は、
中国の急伸で相対的地位が下がったものの、それでもわが国の年間生産量は 166.8 万トン(IRSG 統計、
2015 年実績)に及び、中国、米国に次ぐ世界第 3 位である。
(2)合成ゴムの種類
合成ゴムの形態は、固形ゴムが大部分を占めるがゴムラテックス、液状ゴム、粉末ゴムなどの形態もある。これ
ら市販されている合成ゴムの種類は約 100 種類を超えるとされ、それぞれの特性を生かした使われ方をしている。
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例えばタイヤ 1 本でも部材によって使われるゴムが異なる。代表的な種類はスチレンブタジエンゴム(SBR)、ポ
リブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、アクリロニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エ
チレンプロピレンゴム(EPDM、EPT ともいう)、ブチルゴム(IIR)などがあげられる。
機能別に分類すると「汎用ゴム」と「特殊ゴム」に大別できる。汎用ゴムは比較的安価で幅広い用途に使用さ
れるゴムの総称であり、タイヤ、履物、防振ゴムなど耐油性や高度な耐老化性などの性能を必要としない用途に
使用される。SBR、IR、BR がこの分類に属し、また天然ゴムもこの汎用ゴムに分類される。
特殊ゴムは、耐油性・耐熱性・耐候性など天然ゴムにない特性をもち、主に工業用品に用いられる IIR、
EPDM、CR、NBR に加え、卓越した耐油性や耐熱性をもち比較的価格の高いシリコーンゴムやフッ素ゴム、ア
クリルゴムなどがある。
(3)汎用ゴム
最大の汎用ゴムといえば天然ゴムだが、合成ゴムでは SBR が該当し、自動車タイヤの主原材料として天然ゴ
ムとともに必要不可欠な存在である。SBR には重合法(製造方法)によって乳化重合 SBR(E-SBR)と
溶液重合 SBR(S-SBR)があるが、一般に SBR といった場合は E-SBR を指す。
その特性は天然ゴムに最も近く、耐熱性・耐摩耗性にも優れ、また加工性が良く天然ゴムや他の合成ゴムと
のブレンドも容易というバランスのとれたゴムで、汎用合成ゴムの王様といえる。
しかし 20 年程前から天然ゴムの使用比率の高いラジアルタイヤが台頭し、またタイヤ自体の差別化が進むに
つれ標準化されたグレードは減少し、むしろ味付け(分子構造の設計)が自在な S-SBR を始めとしたスペシ
ャリティ製品のウエートが高まってきている。
BR はゴム弾性が最も高く、また耐摩耗性・耐屈曲性に優れるためゴルフボールのコア材料としても使用されて
いる。タイヤでは摩耗性の要求されるトレッドやカーカスに多く使用される。
IR は「合成天然ゴム」と称されるだけあり、天然ゴムによく似た、最もゴムらしいゴムと言われ、あらゆる用途で
天然ゴムの代替に使用されてきた。しかし天然ゴムとの価格競争が厳しく、なかなか需要は伸びてこなかった。
(4)特殊ゴム
IIR は空気を通しにくい性質(気体不透過性)から、かつてはタイヤのチューブ材料として使用されたが、チュ
ーブレスタイヤが一般的となった今日では、改良品種(塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム)が SBR や天然
ゴムとブレンドしてインナーライナーやサイドウォール用に使用されている。また、耐候性・電気絶縁性に優れること
から電線・電纜に、また振動減衰性を生かし防振・防音材などにも使用されている。
EPDM は唯一、耐油性でない特殊ゴムである。その特性は、耐オゾン性・耐候性・耐熱性・耐薬品性・低温
特性が優れており、自動車部品用途に需要を伸ばしてきた。
CR は耐熱・耐候・耐オゾン・耐油・耐疲労・耐焔性など全般にわたりある程度の特性をもつ、“丸みのあるゴ
ム”として工業用品を始め広い分野で使われている。また輸出も多く国内生産の半分以上を占めている。
NBR は耐油性特殊ゴムの代表である。耐油性のほか耐熱性、耐ガス透過性、電気特性、機械的強度に
優れることから、オイルシール、ホース、ダイヤフラム、ロールなど自動車部品や工業用品に広く用いられている。
シリコーンゴムは耐熱 200℃以上、耐寒マイナス 70℃以上と温度に極めて強いゴムである。また電気絶縁
性・難燃性・無毒性なども備えることから自動車部品、電子・電気機器部品、医療関係など幅広く使用されて
いる。
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アクリルゴムは自動車と自動車部品の進歩に伴い開発されたゴムである。耐熱性・耐潤滑油性・耐オゾン性
に優れた性質をもつ。
フッ素ゴムは 250℃以上の連続使用にも耐える、最も耐熱性に優れたゴムである。耐熱性以外にも耐油・耐
薬品・耐溶剤・耐焔・耐候・耐オゾンなどあらゆる性能で他のゴムを寄せ付けない高度な性質をもち、他のゴム
では耐えられないような過酷な環境で用いられる特殊ゴムである。
(5)合成ゴムの生産量
世界の合成ゴム生産量は 1,446 万トン(IRSG 統計、2015 年実績)で、21 世紀に入り増加傾向にあ
る。このうち日本は 166.8 万トンで世界の 11.5%を占めており、ここ数年は生産量に大きな変動が見られな
い。
近年、大幅に生産を伸ばしているのは中国とロシアである。中国は 2001 年に 105.2 万トンだったが、2015
年は 273.7 万トンまで大きく増加し 2008 年以降トップの座を維持し、ロシアも 91.9 万トンから 140.5 万ト
ンと増加を示している。
わが国では、合成ゴム総出荷量 141 万トン(日本ゴム工業会、2015 年)のうち SBR が約 68.1 万トン
で全体の 48.3%を占め、さらにそのうち 52 万トンが SBR ソリッド(固形ゴム)である。BR は 34.4 万トンで、
次いで EPDM が約 16.2 万トンとなっている。
2.合成ゴムの製造工程
合成ゴムの大半は石油化学工業で生産されるゴムである。原油を川上とすれば合成ゴムは最も川下に位置
する。原料からの流れをたどると、まず原油は石油精製会社で精製され、ナフサ、灯油、軽油、重油、液化石油
ガスなどの石油製品になる。このうちのナフサが石油化学工業の元原料になり、このナフサを 700~800°C の高
温で熱分解するとエチレン、プロピレン、C4 留分、C5 留分、分解油等に分離する。これらは“石油化学工業の
基礎製品”と呼ばれ、これらを原料として多くの誘導品が生産される。汎用ゴムの SBR と BR、耐油性特殊ゴム
の NBR は C4 留分から抽出されるブタジエンを主原料としている。
SBR では E-SBR、S-SBR ともにブタジエンとスチレンを原料とする。石鹸水の中で重合させて作る(乳
化重合法)のが E-SBR で、溶剤の中で重合させて作る(溶液重合法)のが S-SBR である。もう少し詳し
くみると、E-SBR はブタジエンとスチレンに水と乳化剤、開始剤などの薬液を加え、一定の反応率まで重合させ
る。そこから未反応なブタジエンとスチレンを回収してできたのがラテックスである。天然のラテックスはゴム樹によって
自然生成されるが、合成ゴムラテックスはこのように化学的に作り出される。
そのラテックスを濃縮すれば乳化状の SBR ラテックスとして出荷されるが、濃縮せずに劣化防止剤や伸展油を
加えて凝固させ、細かい固まりにしたのち、脱水→乾燥→計量・成型→包装の手順を経れば、固形の SBR と
して出荷されることになる。E-SBR の場合、通常の結合スチレン含有量は 23.5%であるが、スチレン含有量
が 50~60%と高い SBR をとくにハイスチレンゴム(HSR)と呼び、主にレーシングタイヤのトレッドコンパウンドと
して使用される。
BR も同様にブタジエンが原料である。これに溶剤、触媒を反応器に入れ連続的に重合する。得られた重合
物から未反応ブタジエンおよび溶剤を除去し、乾燥→成型工程を経て包装される。NBR はブタジエンと繊維原
料でもあるアクリロニトリルを原料とする。
IR は C5 留分から抽出されるイソプレンを原料とする。溶剤に原料モノマー(イソプレンモノマー)を加え有機
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金属化合物を触媒として溶液重合法により重合する。このポリマー溶液から未反応イソプレンと溶剤を回収し、
得られたゴムを脱水→乾燥→計量・成型→包装して製品となる。EPDM はエチレンとプロピレンの共重合体に
第 3 成分を少量加え溶液重合法によって作り出される。

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