ちょい悪おやじの!ちょい乘り四方山ブログ

①ネットビジネスのもうけ話と詐欺話
②街で拾ったおもろい事柄
③人生は・・・?うんちく
 オヤジの説教に付き合え
個人的な見解につき 評価は受けても
批判は無視します。他人の中傷にお付き合いするほど、残された時間は多くないのでね。

ロール・オーバー(ローリング・ヘッジ/スイッチ取引)

第 4 節 ロール・オーバー(ローリング・ヘッジ/スイッチ取引)
第 1 項 ロール・オーバーとは
ヘッジャーがヘッジの期間を延長するために行う取引のことをロール・オーバー、あるいはローリング・ヘッジまたは
スイッチ取引とよんでいる。
ロール・オーバーは、ヘッジャーの行うヘッジ対象期間が長期間の場合、先物市場の流動性が乏しい市場や 6
ヶ月以上先の限月の設計がない市場が多いことから、短期間の流動性の高い限月を複数回乗り換えて決済
期限を繰り延べることで、長期間のリスク・ヘッジと同じ効果を得ることを目的とする。一旦建てたある限月のヘッ
ジポジションを手仕舞いし、目標価格確保が可能と思われる期先の限月へもう一度同様のポジションを建て直
すもので、期先の限月に取引の評価損益を繰り延べし、かつ、現物ポジションを動かさずに、先物ポジションを入
れ替えるコストだけで、新しいヘッジ・ポジションを組成することができる。
第 2 項 ロール・オーバーの例-ゴム先物市場で買いヘッジ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ゴムのタイヤメーカーが東京商品取引所のゴム先物市場を利用して、長期間先のゴムの値上がりリスクをロー
リング・ヘッジする。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
①1 月限を 1 枚買建てし、約定価格は 1kg あたり 250.0 円であった。
②1 月になり、スポット価格と同じ 255.0 円/kg で手仕舞いし、同時に 2 月限を 1 枚買建てる。このときの約
定価格は 260.0 円/kg であった。
③この時点での買いヘッジによる 1 枚分の調達コストは、255 円/kg になる。
255 円/kg=260 円/kg-(255 円/kg-250 円/kg)
60
第 3 項 ベーシスリスク(Basis risk)
これまでの例においては、現物価格と先物価格が全く同じ動きをするなど、ヘッジ取引がうまく機能した場合を
想定したが、実際は以下のような理由により、意図したヘッジ取引が行えないことがある。
・ ヘッジ対象資産の現物価格と、先物価格が正確に一致しない可能性がある
・ 商品をいつ購入もしくは売却するか、およその期日しかわからない
・ 納会日以前にヘッジ取引を決済しなければならないときもある
ここで、問題となるのがベーシスリスクである。ヘッジ取引においてのベーシスは一般的に以下のように定義され
る。
ヘッジ対象資産と先物市場の原資産が全く同じ場合は、現物価格と先物市場の受渡値段は一致し、ベー
シスはゼロになるはずであるが、納会日以前には需給バランスや保有便益(コンビニエンス・イールド)の変動な
どにより、ベーシスはプラスにもマイナスにもなりえる。また、現物と先物の原資産が違う場合は、ベーシスリスクは
通常大きくなる。
つまり、ベーシスリスクとは現物取引での損失(利益)と先物取引での利益(損失)が相殺されないリスク
である。
ベーシスが生じる要因としては、主に以下のものが挙げられる。
・ カレンダーベーシス:ヘッジ対象玉とヘッジの価格決定の時間の差に伴う価格差
・ 地理的べーシス:現物取引と先物取引の受渡場所の違いから生じる価格差
・ 品質ベーシス:ヘッジ対象資産と先物市場の原資産との品質や等級の相違から生じる価格差
このようなベーシスが変化することにより、ヘッジ取引の損益も変化することになる。
61
< ベーシスのリスク例>
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ゴム製品の製造会社である C 社が、3 ヶ月か 4 ヶ月後にゴム 100t の購入を予定している。そこで、ヘッジのた
めにゴム先物市場の 5 ヶ月後の限月を 20 枚(1 枚あたり 5t×20 枚=100t)、250.0 円/kg で買い建て
た。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
その後、C 社は 3 ヶ月後にゴムを購入したので、先物取引を決済することにした。このとき、現物価格は
270.0 円/kg、先物価格は 265.0 円/kg であった。
この時ベーシスは、「現物価格- 先物価格」なので
ベーシス=270.0 円-265.0 円=5.0 円
先物取引による利益は、「決済価格- 建玉時の価格」なので
先物取引による利益=265.0 円-250.0 円=15.0 円
よって、C 社にとっての実質的なゴム購入価格は、1kg あたり、
ゴム購入価格=270.0 円-15.0 円=255.0 円
これは、先物市場での買いポジションを建てたときの「先物価格+ベーシス」であるといえる。
先物価格+ベーシス=250.0 円+5.0 円=255.0 円
このようにベーシスの存在によって、意図したヘッジ取引と誤差が生じる可能性があるが、適切な市場設計がなさ
れた流動性の高い先物市場であれば、その価格は現物価格と完全に一致しないまでも、ほぼ連動した動きとな
る。したがって、現物価格と先物価格が大きく変動することはあっても、ベーシスは大きく変動する可能性は低い
といえる。ヘッジ取引とは、価格変動の高いリスクを、ベーシスリスクという低いリスクに変換する行為とも考えられ
るので、ヘッジ取引を行う際はベーシスを理解することが重要となる。

×

非ログインユーザーとして返信する