ちょい悪おやじの!ちょい乘り四方山ブログ

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 オヤジの説教に付き合え
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批判は無視します。他人の中傷にお付き合いするほど、残された時間は多くないのでね。

リスク管理と周辺制度

第 6 節 リスク管理と周辺制度
企業は取引先の信用リスクや訴訟などのリーガル・リスクあるいは為替や金利変動といった市場リスク、天変地
異による災害リスクなど、様々なリスクに直面している。リスク管理という言葉が聞かれるようになって久しいが、どう
いったリスクを対象とするかで、リスク管理の手法も異なる。商品先物市場に関係するリスクとは前述の市場リス
クの中の商品価格の変動リスクや市場自体の流動性リスク、あるいは取引の相手方の信用リスクなどであろう。
これらのリスクを管理するサービスを我々商品先物業界では当業者に対し、提供しているのである。この中で特
に当業者として関心のあるのは価格変動リスクとそのヘッジの場としての商品先物市場である。
昨今、リスク管理の視点から、先物市場を取り巻く周辺制度が急激に変化している。これらの環境変化から
一層、商品先物に対する当業者のリスク管理ニーズが高まる可能性が大きいため、この点について以下で整理
して説明する。
第 1 項 会社法と金融商品取引法の施行
会社法は、商法の一部と有限会社法等を改正し、これらを引き継ぐ形で 2006 年 5 月 1 日に施行された
法律である。会社法では、企業規模や業種を問わず「株式会社の業務の適正を確保するために必要なものと
して法務省令で定める体制(いわゆる「内部統制」)の整備」に関わる事項が取締役会の専決事項として新
たに盛り込まれ、さらに会社法上の「大会社(資本金 5 億円以上もしくは負債総額 200 億円以上の株式会
社)」では、「内部統制システム」の構築が義務付けられている。さらに、この内部統制システムの具体的内容
の一つとして「損失の危険の管理に関する規程その他の体制」が会社法施行規則で規定されている。つまり、こ
れからは大会社に分類されればリスク管理体制を構築しなければならないことになる。
また、金融商品取引法では、上場会社に対し、経営者による内部統制報告書の作成と公認会計士による
監査を義務付けており、内部統制の状況を開示し、第 3 者のチェックを受けなければならないことになっている。
会社法と金融商品取引法のこれらの規程が適用されるのは 2008 年 4 月 1 日より開始される事業年度からと
なっており、リスク管理に対する体制の整備とその開示並びにその適正性の確保が求められる時代になってきた
のである。
例として、企業が取扱っているアルミニウムの価格の変動についてのリスク管理に係わる内部統制について考え
てみよう。これからはアルミニウム価格の変動リスクに係わる内部統制の不備が原因で、アルミニウム価格の変動
によって多額の損失が発生した場合は、会社法上の内部統制構築義務違反となる可能性があり、株主代表
訴訟の対象となる。
第 2 項 棚卸資産の評価基準の変更
さらに時期を同じくして、在庫の評価に関する会計上の取り扱いが変更される。つまり、これまでは原材料の
調達にあたり、著しく時価が下がり、かつ回復の見込みがない場合を除き、原則として取得時の原価で在庫で
ある原材料を評価すればよかったが、2008 年 4 月 1 日より開始される事業年度から、通常の販売目的で保
有する棚卸資産は、期末における正味売却価額(時価から売却にかかわる諸経費を控除した額)が取得原
価より下落している場合、当該正味売却価額で評価しなければならなくなる。この会計上の取り扱いの変更は、
前に説明した会社法や金融商品取引法の施行と一見無関係に見えるが、実は経営上は極めて関係がある。
なぜなら、これまでは在庫に含み損が発生していても、取得時の価格で評価すればよかったため、損失として表
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面に出てくることはなかったが、今後は価格が下がっている場合は時価(正確には「正味売却価額」)で評価
するため、損失が表面化することになる。即ち、これまでであれば、意図するかしないかは別として、決算上の数
値をある程度調整することができたが、今後は在庫の評価損失が表面化し易い環境になる。こうした環境変化
により、価格変動に対するリスク管理に関する内部統制の整備について、先に述べた経営者の責任にこれまで
以上に目が向けられることにつながるわけである。つまりリスク管理に対する内部統制を整備しているか否かが結
果としてより明確に経営成績に表れるようになり、それに対して投資家の目にも付き易くなるということである。
こうした環境変化により、自社で扱っている商品の価格変動リスクに対するリスク・ヘッジの場である先物市場に
対する当業者のニーズが高まることが期待される。
具体的な数値例でこの点を確認する。ある商品を仕入れて販売している流通業者を例にとる。期初 棚卸と
して評価額 100 円の商品 1 個の在庫が存在したとする。今期、新しく商品 1 個を仕入れたが、200 円/個に
値上りしていた。一方、売上げについては、仕入値の上昇を反映して販売価格を 300 円/個として 1 個販売し
た。期末在庫は 1 個であるが、期末時点では商品は 100 円/個に値下がりしていたとする。
この例について、会計上の利益を求めたのが、図「会計方針による在庫評価の違い」である。仕入高や在庫の
評価方法によって会計上の利益が違ってくるが、在庫に評価損がある場合、新ルールが適用されることで、より
利益が保守的に計上されていることになり、より実態に近い姿になっていることがわかる。

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